ちいさいおうち から学ぶ街のあり方

1942年に発刊された バージニア・リー・バートン の ”ちいさいおうち"

 この絵本が書かれた1942年はきっと表紙のような暖かな太陽のなかで、緑に囲まれ、鳥がさえずり、心豊かに過ごせた時代だったのかもしれません。


 作者は少しずつ豊かになっていく社会をみて、物質的な豊かさと反比例する心の荒廃を嘆き悲しみ、絵本を通じて、私達大人が子どもたちに残せるものは何かを訴えます。

 ちいさいおうちは何年たっても同じ場所に立ち続けます。ですが街が便利になり、道路ができ、鉄道高架ができると、”ちいさいおうちは” 存在感をなくします。同じ場所に立ち続けているのに・・・。結局”ちいさいおうち”は何年も立ち続けていた街を去り、緑豊かな場所で新しい生活を始めます。

 ちいさいおうちを私に置き換えた場合を考えてみてください。自分の周りがどんどんコンクリートで固められそこから見える空も少しだけ 草木の囁きも聞こえず聞こえるのはクラクションと騒音。 バージニア・リー・バートンは 半世紀以上も前に私達に対して警鐘を鳴らしていたのでしょう。

 この絵本を読んだ方はお分かりでしょう。私は沼津の街と重なってしまい、ハッピーエンドの結末であるのに、悲しくなってしまいました。そして同時に、この絵本を沼津の街の皆さんに読んでいただけたらと思いました。

 

 私はこの街が好きだったはず 自然がいっぱいあるこの街が好きだったはず。知らぬ間に都市計画が進み、コンクリートの街になっていく。

 私もいつかちいさいおうちのように違うすみかを探すのかもしれません。